サイバー接客
「接客」という言葉にはさまざまな意味があるだろうが、小売の店頭で、店員が、その店を訪れた人と会話をする、そういう場面を仮想空間の中で想定しようというのが、「サイバー接客」のコンセプトだと考えている。
Second Life的な世界は、基本はウェアハウスと同じだ。商品が並んでいるが、商行為としての会話は概念の中に無い。
WebでのB2Cサイトも基本は同じ。リコメンデーションというFeatureが入りだしているが、その上を行く概念の模索として、サイバー接客を考えようとしている。
店員が訪問客と会話するのは世間話をするためではないから、どんな話を投げかけられてもそれに応答する、という性能を付与する必要はない。すなわち、優秀なキャッチャーである必要はない。しかし、話を始めると客は満足し、最終的には商品を買い上げていく、という会話ができれば理想だとおもう。すなわち、優秀なピッチャーを目指すべきである。
無味乾燥ともいえるデジタルの世界に、あったかい会話が入る。そうなると、仮想空間と現実空間の連続性は飛躍的に確実なものとなり、実用性もまた楽しさも増すのではないか?
なぜベトナムに注目するのか
ある高官が私に聞いた。「なぜベトナムに注目するのか?」
ありがたい、というか、タイムリーな質問だった。ベトナム側からそのような質問がでるのはうれしいことである。
基本的には次のことだと言った。まず、第一に地政学的に重要な位置にある。そこにある国がどのように発展していくのか興味があるし、助力できるとしたら大学教員としてうれしいことである。第二に、日本の心情を深く理解してもらえる要素をもっている国である。おしんがわかる。国民性として近いものを感じる。まじめで努力する人が多い。日本が先の戦争において大きな侵略をしてこなかった。日本人への感情は概して悪くないので、本気で付き合える。日本から学ぼうとする姿勢がある。
前提としては、途上国であること、アメリカに勝った国であり、ということはアメリカが本気で援助をする対象となっていないこと、もある。
国際的な分業の構造の中で、農業以外の輸出貢献は今までは無いというべきであるから、また、資金的な余力も乏しいというべきであるから、なにもないところから有を生み出そうとする無形の生産活動はまず着目するところのはずである。若者が多い。人口は多く、産業振興の経験に乏しく、手探りのことばかり。今のところ、賃金も低い。労働集約の知的生産を優秀な人が集まっておこなうことに、興国の要因をみることができる。そんな点からも、ソフトウェアの開発作業や、デジタルコンテンツの作成作業などを中核とするといいだろうと感じている。そこには、ほんものもにせものもいる。日本側にもさまざまな人とその思惑がかさなることになる。
今、Blenderというオープンソースソフトウェアに注目している。これはなかなかのすぐれものである。ゲームエンジンまで入っている。プログラミングはPythonによる。こうしたことから集中研修3DCG09をホーチミンで行った。この話はいずれまとめて。