IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

二番じゃだめなんですか?

民主党の蓮舫議員を有名にした言葉である。どういう意味なんだろう?

先頭にはならなくてもいいよ、あるいは逆に、先頭になることを目指しているんですか、それともそうでないんですか、ということを文字通り聞いているのか。先頭争いにはくわわらなくていいよ、ゆっくりと自分の世界で幸福を追求しなさい、というあたりなのか。そうではないだろうけれど、一番のまねをするだけで十分でしょ、という解釈を言う人も居る。まわりに聞いてみると面白いと思う。新技術開発の世界だとすれば、人のものを蹴落として進んでいって、それで一番になるということはほとんどの場合意味していないから、相対的な一番を目指すという話はそもそもピントがあわなくなる。一方、ビジネス的な要素が強い文脈なら、なにもそんなに貪欲になって一番をめざさなくてもいいのでは、ということも意味はでてくる。

自分の持っている能力を磨いて磨いて、という努力はやめて、楽しくそこそこに暮らしなさいということなのか?どうもそういう解釈の空気が多いらしい。

スピードスケートの世界一をきそう練習の中で、以前は秘密練習だったらしい、ジャンプスケートというトレーニングをテレビでたまたまやっていた。以前の黒岩選手あるいは清水選手の画像なども入れながら、このトレーニングを開発した先生の話をやっていた。氷面をけっていく、それには幅1ミリにならない歯の上にまずバランスよく体重をのせて、右に左に蹴る足の力を利用して、他方の足を極限までスムースに前に滑り出させていく、これを1ミリ幅の歯のアウトとインの切り替えの微妙なタイミングの中でぴったりとタイミングをあわせるとスピードが増す。これを、練習に練習を重ねて、疲れた体であっても体がきっちりと覚えるようにさせる。そのための練習の一つとして、たとえば、右足を前に出したら、左足から「飛んで」左方に着地する、左足でそのまま滑る、次に右足から右へ飛ぶ、というのをみせてくれた。しっかりとエッジの上に乗っていて力のバランスがしっかりとしなていないとできないとのこと。私などには到底無理な話だ。背も小さく、体重も少なく、それでも体重差20キロという欧米人に伍していくために必死に考えたトレーニング方法だとのこと。また、足の長さも違うので、蹴っていく足が描く氷上の軌跡も同じであれば、欧米人には足が短い分次第に遅れていくので、同じスケーティングの仕方では勝てない、そのための工夫をくわえたことも紹介される。二番のままでいいとあきらめていたらでてこない成果である。

多くの新しいテクノロジは、古くから培われ、こつこつと改良されてきた要素技術を新しい場にあって、複数組み合わせる、そのアイデアから出てくる気がする。この気づきはどこからくるか。なんとかしようという人間の頭脳の思考力、経験と知識の組み合わせ、そしてそれを新しい場面にあてはめるための努力からである。少なくとも二番のままでいいとのあきらめからはでてこない。

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Written by masa-ida

9月 4th, 2010 at 10:53 am

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