IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

夏時間の合理性とグローバルIT

日本で夏時間が検討されている。二つコメントを記したい。

一つは、その歴史的合理性である。昔はろうそく、ランプ、ガス灯、などの燃焼型の灯りに多くが依存していた。特に米国ではそのエネルギー源の確保には敏感だったとおもう。ロードアイランドの捕鯨基地だったところの博物館に行った時、そこでの問題は鯨油を取って使うが、それ以外はそのまま捨て去られていたことだった。鯨油は灯り用の燃料として燃やされて利用されていた。ペリーの開港要求は捕鯨船の補給基地のためではなかったか。油をもとめて世界の海へ乗り出した。そして産業革命の成功には灯りを必要とした。長時間労働である。機械は長い労働をいとわないが、労働者には灯りがいる。そして、灯りの供給にはコストがかかる。燃やすのだから常に新しいエネルギー源の確保が必要になる。もし太陽が昇ると同時に働きだせれば、灯りの必要な夜の労働時間は減るから、コスト削減になる。明確に数字が出て、合理性が示される。ばくぜんと精神論的な部分を含んだ朝早く起きようとは全く性質が異なる。夜の灯りの需要を減らそうということ。これはみんな分かるし、やろうということになる。一端はじまったら、その後にはその後の理由付けが生じる、今に至る。今の日本での議論には明確な数字はでているのだろうか?どんな合理性が示されるのだろうか?

もう一つは、グローバルITということ。ITプロダクトはどうやってもグローバルプロダクトとして設計される、たとえローカルな特定リージョンを対象として企画されたとしても。そして、一部地域で成功した商品は、間髪を入れず他の地域の需要にも対応すべき必然性が出てくる。なので、最初からグローバル展開をするように考えた方がいいということになる。オフラインプロダクトでもそうだからネットを利用するプロダクトではなおのこと前提としてといっていいくらいグローバル対応を想定するものが多くなる。そしてリアルタイムの時刻をその機能の実現に利用するプロダクトは数知れない。08151700Zなどという文字列はグローバルに同一時刻を表す名札として用いられることになる。そして、機能が一定になれば、ハード化がされる。C言語でロジックを書いてくれればそういう石を作ります、なんていう高級な話だけでなく、廉価になり大量に普及したデジタル時計のチップには、タイムゾーン対応と夏時間対応機能が組み込まれている。デジタル時計だけでなく、多くの電子機器、電気機器にはデジタル時計チップが組み込まれている。そのロジックはハード化されていて、一時間ずらすという夏時間対応はおよそ組み込まれている。ハード化されコモディティ化されることで量産の効果はあがる。私の買ったばかりの廉価な腕時計もそういう仕様が入っている。二時間ずれるという対応はどうやったらできるか?手作業で日本には夏時間があることにして1時間ずらし、さらに手作業で1時間ずらすくらいしか思いつかない。ワールドタイムの腕時計を使っている人は、しょっちゅう切り替えながら世界中を飛び回っている。存外、その手作業が面倒だから日本には寄らないという心理が起きても不思議ではない、二時間ずれを実施するなら。そういう状況になれば買い換え需要が起きる?そんな殺生な。

明確な目標を持った意志決定、合理的な意志決定は重要。そして、グローバルプロダクトとしてのIT機器・サービスは、全産業的に展開されている、我々の日常生活の基盤にもなっている。

 

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Written by masa-ida

8月 16th, 2018 at 10:48 am

Posted in グローバルIT

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