IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

シウダー・デル・エステ

その不思議なさいはての町、その名はシウダーデルエステ。テレビを見ていて、その名が出てきたので、急に昔のことを思い出した。なんともいえない不思議な雰囲気の、そして小さな店がぎっしりとつまった2階建てほどの店がぎっしりとならぶ商店街が3筋、4筋。CASIQの時計、CASIOではない、Qでおわる、よくみるとちょと違和感があるが良く見る赤地に白十字のSWISS madeアーミーナイフ(とされて売られているナイフ)、そんなたぐいのものであふれている。人もいっぱい。両手いっぱいにものをかついでたくさんの人が歩いて国境の橋をわたる。車は駐車場状態の渋滞の中、とりあえずたっているかのようなイミグレの審査官、さまざまな人が行き来する。あえて使おう、あやしげな町、非常にインパクトがあった。

近くにイタイプー水力発電所。巨大な近代科学の粋を集めて作られたダム・巨大発電所。日本の資本と技術も加わって作られていたようだ。その案内所の壁には、カトリックの宣教師がここに至るまでの地図が年表とともにかかげられている。記憶が違っていないければ16世紀のこととあった。ラプラタ川を順にさかのぼって北へ上がっている。道なき道をかきわけてそんな時代に宣教師がここまで到達しているとは。

文字通り「T」の字の形で、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイが国境を接している。深い切り立った崖で切られている大きな川がどんとぶつかっている。アルゼンチン側のポートイグアスのはずれにこの国境の川を展望できるところがある。さびれてだれも観光客が居ないようなところ。10店ほどのちいさな土産物屋がある。お客はどの程度いるのだろうか。でも、そこに人々は居て、毎日暮らしている。北を上に書くとすれば、人という漢字のようにTを左に45度ほど傾けると3つの国のぶつかり方が説明できる。左下へが南の河口に向かう川でパラグアイとアルゼンチンを分ける。その反対の右上にイタイプーのダムがある。右下に伸びる川はブラジルとアルゼンチンを分ける。その先にはイグアスの滝がある。自然が作った巨大な美しい滝。アルゼンチンからシウダーデルエステ(スペイン語で「東の町」)に行くには、ブラジルへ橋をわたって、次にパラグアイ国境にあるその町へ入る。アルゼンチンのタクシーで2つ国境を走りぬける、出入国のスタンプなし、ビザなし、もちろん日帰り。他では無い経験。

ここに語るには私の表現力では語りきれない思いがあったのを思い出す。1ドル札の価値の高さ。いたいけない幼い少女が手を出す、金をくれとにっこりと。エクアドル・キトでの同じ光景と重なる。なんともいえない貧しさと生きるひとびとのたくましい生活の姿。商業と貿易の原風景。90年代初頭、20年ほど前に2週間の短期研修の講師としてアルゼンチン出張した週末の思い出である。

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Written by masa-ida

1月 14th, 2011 at 6:54 am

Posted in 経済

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