IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

Archive for the ‘経済’ Category

ビットコインに関する、ナカモト氏の2009年の記事

表記と思われるものを、http://p2pfoundation.ning.com/forum/topics/bitcoin-open-source?commentId=2003008%3AComment%3A52186 に見いだしたので、私訳を作ってみた。投稿日が正しいとするなら、また、署名が本人だとするなら、かなり初期の、ビットコインについてその設計者の立場から記した記事だと思われる。P2Pを利用してマイクロペイメントを機能させる、特定政府機関に依存しない仕組み、というようなところになる。私の印象としては、たとえば、軍が他国で展開している時に、その国の通貨も使わず、また、米国通貨も使わずに、展開中の一定の個人消費に対応する仕組み、のような使い方が、その発端、出発点として、頭をよぎる。

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Bitcoin open source implementation of P2P currency
P2P通貨をオープンソースで実現したBitcoin
Posted by Satoshi Nakamoto on February 11, 2009 at 22:27

Bitcoinと呼ぶP2Pの電子通貨システムを開発し、オープンソースにした。これは、trustではなく、暗号鍵証明をベースにしており、中央のサーバや、trusted partiesを置かない完全な非集中化システムである。試してみてください。あるいは、スクリーンショットとデザイン論文を見てみてください:

Bitcoinの0.1版はダウンロードできる形で http://www.bitcoin.org にある。

通常の通貨の根本問題は、それを機能させるのに必要なtrustにある。その通貨の価値を失墜させないためには、中央銀行はtrustされなければならない。しかし、法定不換紙幣(fiat money)の歴史はこのtrustは完全に役立つとは言えないことを示している。銀行というものは、我々のお金を預かり、それを電子的に転送できるようtrustされなければならない。けれども、銀行は、そのお金をクレジットバブルに沿って、貸し出してしまい、ほんの一部しか手元には残していない。プライバシーを確保するよう彼らをtrustしなければならないし、我々の口座をID泥棒に底抜けにさせていないとtrustしなければならない。このための膨大なオーバーヘッドが必要なので、マイクロペイメントは不可能となる。

一世代前にあったマルチユーザのタイムシェアリングコンピュータシステムには同様の問題があった。強力な暗号化が出来る前は、ユーザは、自分のファイルを守るにはパスワード保護だけに依存しなければならなかった。そうした情報を私的なままに保管してくれるとシステム管理者をtrustした。プライバシーは常に、その管理者に依存し、別の観点からの必要があると判断されればそうした判断が優先されえた。そして、強力な暗号システムが広く使えるようになると、こうしたtrustはもう必要なくなった。データは、どんな理由があったとしても、どんな良い言い訳があったとしても、どんな権力があっても、他人がアクセスすることを物理的に不可能にする形でしまっておけるようになった。

このことを貨幣について持つ時が来た。暗号鍵証明に基づく電子通貨は、第三者の仲介者によらずに機能し、容易に、セキュアに確保し、また、流通できる。

この仕組みの基盤にあるのは、デジタル署名である。デジタルコインにはそれぞれその所有者の公開鍵を持たせる。それをだれかに渡すとき、所有者は、次の所有者の公開鍵を付けて、署名する。あらゆる人は、それらの一連の署名を見ることで、所有者のチェインを検証できる。 所有権をセキュアにするにはこれでうまくいく。けれども未解決の大きな問題が残される。つまり、重複した消費、ダブルスペンディングである。いかなる所有者も、すでに消費したコインを再度署名し、別の所有者へ渡す再消費を試みることができてしまう。普通の解決法は、trustできる組織を置いて、そこが中央データベースをもち、重複した消費をチェックすることである。けれども、そうしたtrustモデルの基礎に戻って欲しい。その中央に居るのであれば、その組織は、ユーザの意向をくつがえすことができるし、その組織がマイクロペイメントを実用的でなくさせるような手数料をとったりできる。

Bitcoinは、重複消費の課題を、ピアtoピアネットワークを用いることで解決する。その概要は、分散型のタイムスタンプサーバのように機能するネットワークを置き、コインの最初の使用(transaction)にスタンプすることである。広がるのに容易だが、もみ消すのは困難、という情報の性質の利用している。これがどのように働くかの詳細は、http://www.bitcoin.org/bitcoin.pdf  にあるデザイン論文を参照してほしい。

この結果、失敗することのない分散型のシステムとなる。ユーザは、自身のお金に暗号鍵を持ち、P2Pネットワークの助けを借りて重複消費のチェックをしながら、他者に直接、流通させる。

Satoshi Nakamoto

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Written by masa-ida

3月 8th, 2014 at 10:37 am

Posted in 経済

モノのロングテール身近編

ネットを使ったビジネスが、小規模の生産に対応してくれる、しかも安く。そしてそれが知られるようになると、時代は一歩ずつ変わっていく。

最近の身近な例を記録しておこう。教会のクリスマス案内のちらし。デザインを含めた外部発注などもってのほか。今までは自分たちで原稿作りから印刷までやっていた。多少きれいな色の紙、1枚2円、を買う。これに備え付けの印刷機で黒字で印刷し(それしかチョイスはない)、新聞配達店に持ち込んで、新聞と一緒にくばってもらう。だいたい5000枚。裏表印刷。多い年だと2万枚とか作る。これを自分で印刷機をまわすのは大変!だいたい小型印刷機でそれだけの量を作ろうとすると時間もかかるし、トラブったりいろいろ。みんなで手分けして奉仕作業としてあるいは事務職の仕事として行う。それはそれで実はある。

この手間がどうにも大変になってきた。それでそもそも新聞の折り込みちらしは実際に効果があるのか、とか議論沸騰。だれかが、プリントなんとかというサイトを見つけてきた。5000枚で1万2千円。原稿をメールで持ち込むと、印刷されたものが郵送されて帰ってくる。よくみられるような折り込み広告に匹敵する品質のものが数日後に納品された。きれいな色使い。両面印刷。紙もいい。いままでの紙代相当分だけでいい。大幅にきれいなものができた。事務の大作業も大きく軽減された。

受ける側の業者。こういう発注が多量にあって、印刷機をどんどんまわすことができれば、さっと計算しても数人以下の会社ならなんとか食べていけそう。でも、1日10時間くらいまわして、月20日以上かなぁ、素人計算では。

本に書いてあること、身近な例で追試をしよう。少し真相が見えてきて、同時に日本での実態を考える助けになる。

 

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Written by masa-ida

12月 5th, 2013 at 9:02 am

Posted in 経済