IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

Archive for the ‘IT’ Category

「中立な技術」をはさんで

「技術は中立だが、それを使う人間は中立ではない」(第五の権力、E. Schmidt & J. Cohen著、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社P100)

これは真理だと言っている。そうだろう。「標準がないのが中立だ、標準はそれに加わった人たちの利益を代表している」という真理もある。そうなると、完全自由市場にもっとも近い存在とされるインターネットは、新しい技術をひっさげて登場する新規参入者にとってはもっともふさわしい実験場であり、ソースであり、シンクである。

完全に中立な人間なぞいない。ましてやfor profitの企業は、かかげた目標のために進んで行く。中立ということはありえない。

しかし、情報の非対称性がある、また、投下できる資本力の差がある。中立な技術も公平とは言えない。

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Written by masa-ida

7月 21st, 2014 at 10:23 am

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技術適合証明と市場の刺激

特に、スマホ、タブレットの世界について、さらに、日本国内でのいわゆるギテキマークの交付を受けていない機器を国外から持ちこんで使用する、ということについて最近、次のような文を書いて、FBに載せた。

『おそらく、当該国で認めたなんらかの認証を得た機器、つまりアングラで勝手に作った機器ではない、ということの表を作るのがいいかと思っています。国によって異なる基準、考え方で適切な機器ということをみとめている わけだから、それがあればいいとするべきだと考えます。たとえ技適とは異なるあるいは小さな規模の仕様であったとしても。たとえばWiFi Certified(とRoHS)で良いとしている国があれば、それはその国でオフィシャルに通用するも のなんだから、それは持ち込まれても許すべき。このくらいの範囲でOKにする度量がないと日本の競争力を鍛える場に問題が出る。あるいはグローバル基準に対応しながら技術革新していこうということから、この島はドロップアウトの烙印 を押されるのでは?ちょうどPDCのように。』

なかなか難しい問題である。まず,人の出入りは止められないし、むしろ島国日本としては多くの人の行き来があるべきである。そういうひとたちが持ち込んでくる機器をすべて日本国内の基準をあてはめて管理しきれるものでもない。そこでいわゆる国際法の扱いとか、当該分野でいえば、特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律などを作ったりして、技術標準の共通性、互換性という橋をかけることになる。

共通性、互換性ということになると、各国の方針、政策、分野での成熟度といったことも配慮するべきである。日本が持っているスタンダードのレベルに至らなくてもそれを尊重するべきではないかと考えている。当然、特定国を想定したつるしあげてきな制約は、究極のところ、日本に益はないだろう。

そこで、次を続けた。

『輸入を前提とした議論なのかどうか。本来、国産品の間での基準 があって、それをまもるなら輸入品も可としようということだったのでは?スマ ホ、タブレット等々では守るべき国産品があるのかどうか。iPhone崇拝を守る? 日本には何もなくなってしまったのに、アジアの他国の低価格化・自主開発への 努力も葬り去る?栄誉ある孤立?あるいは特定国に対していやだというナショナ リズム?ギテキという非関税障壁があると米国に言われる時点までくれば謝る? 日本発のスマホ、タブレットがあれば前提は違ってきた。そもそもそこまで衰退 している。あとはどうやって復興するのか、他国にあとは頼むね、というのか、 どっちをとるか。その選択的な岐路という点での問題が出てると思う。電波行政 の話は私には何も言えない。』

そう、日本発のスマホ、タブレットは、現在、強い、とは全く言えない。それどころか、市場の選択の中でほとんど選択対象とはされないくらいになってしまった。忘れ去られたといってはいいすぎだろうか。その認識が共有できるのであるならば、スマホ、タブレットのギテキの課題は、輸入品についての網をどうかけるかというだけの話題になってしまう。

日本に、消費者を魅了する製品を作る技術がなくなってしまったとは思わない。やろうというリーダシップ、それによってわいわいと集まる情熱が欠けているだけではないか。

そこで、思うのは、「国産スマホ」の企画をすることである。実勢価格100ドルスマホはかなり実用性を持ってきている。しかしこれではいろいろと足りないことがある。これに機能をたして、たとえば2万円をターゲット価格とするような国産スマホを、それこそ国の予算を使って、つくろうとするプロジェクトを興すのは大いに意味があると思う。そして、OSは2,3用意して消費者が選択できるようにし、また製造・販売も複数の企業がするようにする。

成長戦略には、IT機器の話はいずれにしても関わることになる。けれども、現在、日本製の技術によるIT機器の話のなかでぱぁっとしたものが聞こえてこない。すべて輸入に頼っている。それでは、なんの成長戦略なのかということになる。保護すべきものが無い現状で、制度的な規制をそのままにしておくのは、当然、日本への輸出をビジネスチャンスとしてとらえる企業からは非関税障壁として映る。この現状を追認するのか、それとも変えようとするのか、それは政策課題である。

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Written by masa-ida

7月 16th, 2014 at 9:14 am

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