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Google Neural Machine Translationはグローバルな研究の成果だ
Google のGNMTの翻訳は大きく進化している。これについて私も実感したので、翻訳を自分でテストして、以前のものとの対照などを12月の講義の教材に組み込んだ。一つの大きな深層学習の成果だといえよう。
MIT CSAILでの2017年1月25日のセミナーの発表者として立った、このGoogleのチームの人の講師紹介をそこから引用し、紹介したい。特に日本との関係に注目したい。
次はCSAILのサイトからの引用である。人名については、そのまま記述しないほうがいいと判断し、XXXとしてある。
Dr. XXX graduated in Electric Engineering from the Gerhard-Mercator University in Duisburg, Germany in 1993. After receiving a scholarship spent a year in Japan to study Japanese in Kyoto and Fiber Optics in the Kikuchi laboratory at Tokyo University. His professional career in machine and speech brought him to Advanced Telecommunications Research Laboratories in Kyoto, Nuance in the US and NTT in Japan where he worked machine learning and speech recognition research and development after getting his PhD at the Nara Institute of Science and Technology. Dr. joined the Google speech group in the beginning of 2006, seeing speech products being developed from scratch to toy demos to serving millions many languages over the next eight years, and most notably he was the main developer of the original Japanese and Korean speech recognition He is now part of the Google Brain group which focuses on building large-scale neural network and machine learning infrastructure for Google working on infrastructure with the TensorFlow toolkit as well as on research, mostly in the field of speech and translation with various types of neural networks. In 2016 he led the development of the new Google Neural Machine Translation system, which reduced translation errors by more 60% compared to the previous system.
簡単に要所だとおもうところを日本語にしてみた。
Dr.XXXは、1993年ドイツで電気工学で学士。奨学金を得て、光ファイバと日本語のために来日、東京大学に学ぶ。次いで、ATRに勤務。奈良先端大で博士号。2006年にGoogleへ。その後8年を経て、日本語および韓国語の音声認識に従事。Google Brain グループに入る、。。。2016年にGNMTへ。
この経歴を見て考えさせられる。日本飛ばしとかいろいろ言われるけれど、けっしてそうではない。しかし、日本の組織は彼を評価しきれなかったのではないか?あるいは彼にとって日本はもう魅力は無い場所として映ったのではないか?書かれている年度から類推すると、日本には13年居たことになる。13年。どれだけ日本語になじんでいたかは知らないが、少なくとも日本語のことは知らないなどという批判が的外れだという程度にはよく日本を理解していたはずだ。彼はドイツにいた、しかし、日本へ奨学金を得てきた。奈良先端で博士をとった、そして今、Googleで花をさかせている。
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The Power of Python
2016年12月安倍首相は「和解の力 The Power of Reconcilliation」というキーワードを含んだ所感を、真珠湾で述べた。(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1227usa.html なお、それ自身意味深い内容があると思う,一読の価値あり)
これで、人工知能の歴史と未来を考える上で、The Power of Pythonという言葉が頭に浮かんだ。
だいたい、MIT人工知能研究所の働きとテーマは、世の中の動きの30年くらいは先を行っていたと最近感じる。40年かもしれない。その活動の中で、Lispマシンを産み出し、90年代にポシャっていった。あれはなんだったんだろう、どう説明したらいいんだろう、時には何度もその中にあって、流れを長く見ていたものとして考えていくテーマの一つである。少なくともLispマシンに到達した概念の進化は先に行きすぎていた。半導体をはじめ、ハードウェアの製造技術はそれに追いついていなかった。対象情報とプログラムを切り離し、プログラムもまた処理すべき対象情報として扱う技術は、単にインタプリタは遅いという主張に勝つ必然性を見いだせなかった。しかし、ネットの時代になり、対象情報を転送させ、それをそこでローカルに処理するということの必然性がさまざまに出てきた、インタプリタの必要性がそこにあった。実行時の実行性能ということを切り離して扱う世界ができた。Javaが現われたが、商業的な競争とそのときに必要だった技術の改良・進化・高速化の波の中で、記号処理側面は強調されなかった。データベース技術も成熟した。処理をする最後の瞬間まで加工せず元々のデータを取っておくことは今や可能なアプローチになった。実行手順として用いられるプログラムも動的に変更されていくことが、そういう世界もあるんだなぁという理解を生む技術に至った。記号処理の世界は敗退したかに見えて、しぶとくその本質的な役割を果たしてきた。
日本では1974年に情報処理学会に記号処理研究委員会ができ、それが記号処理研究会になった。Lisp、SNOBOLそして人工知能関連の萌芽的な活動がそこにあった。PROLOGの発表もあった。応用関係は人工知能の研究の確立へと進む。ソースの公開理念についてはフリーソフトウェア、オープンソースへと進む。記号処理研究委員会の資料はまだ手元に取ってある。初期から共に歩んできた仲間たちは覚えているだけで4名若くして途中で命が絶たれた。希望はあったが、さまざまな苦しい状況もあった。両英一先生は大きな存在だった。
で、The Power of Pythonを想起するのである。