IDA Session Records

井田 昌之の日々の記録。自己紹介等。

Archive for the ‘グローバルIT’ Category

技術標準の互換性はグループを作る

引き続き自分の携帯の交換の話。さて、Nokia NM706iからPanasonic P-06Aに移行させることをはじめた。まずデータを移す必要がある。NM706iにはBluetoothはあるが、P-06Aには無い。赤外線がP-06Aにはついているが、NM706iには無い。となると、次に考えられるのはmicroSDでの移動だ。これは両方ともサポートしている。画像と、受信メールと電話帳を移行させようとした。まず画像、これは移さなくてもいいことにした。パソコンに保存しておこう。受信メール。これについてドコモのホームページやNM706iのマニュアルをまず調べてみた。なんと受信メールをどこかに確保しておく方法がない!NokiaのPC Suiteを使ったバックアップはある。しかし、Nokia外の世界に出す方法は結局みつからなかった。なので、しかたなく、どうしてもとっておきたいものだけ、全部調べたうえで個別に処理。全体としては消去。かなし。

最後に電話帳。NM706iの電話帳はmicro SDにとっておけることはすでに経験済み。あっと思った。NokiaのmicroSDのファイルフォルダの構造はNokia固有の形式をしている。これは便利だと思っていた。というのは、自分が持っている海外用携帯はすべてNokiaで、E71、および7360である。これとNM706iとの間のやりとりはパソコンを介してPC Suiteでできたし、micro SDでも問題なし。P-06Aのマニュアルを不安の中で見てみた。書いてある。micro SDの中のSD-PIMというフォルダの中に電話帳などのデータは入るようになっているとさりげなく書いてある。この瞬間、こりゃぁだめかもと思う。ディレクトリ構造が違うからだ。気をとりなおしてNM706iの電話帳をともかくもmicro SDに落とし、それが入っているかパソコンで確認してみる。182件。

はいってる、入ってる。しかし、SD-PIMなどというディレクトリは無い。だめだとわかっていても、ひょっとしてなどと思い、P-06Aに読ませてみる。やっぱりダメ。それどころか、変なSDがささっているとはじかれる。ドコモショップへ持って行ってやってもらうか、それとも何か自分の工夫でできないものか。もっていってもウルトラCがあるとは思えない。所詮、NokiaはNokia、パナはパナだ。思い出した。5年前、前のSony-エリクソンの携帯からNMに変えるときも似たような作業をした。このときは結局ドコモショップへもっていった。だいぶ待たされた記憶がある。

余っているmicro SDを見つけてきて、それをP-06Aで、フォーマットした。そして、そこで一件ダミーとなる電話帳エントリを作って、それをmicroSDにコピーした。このmicro SDをパソコンにもってくれば、どんな感じになっているか見れるから、パソコンでそれに似せて自分で処理してしまおう、という方針をたてた。microSDを持ってきてパソコンで見ると、PIM00001.VCFという名前になっている。Emacsで開けてみる。文字コードは問題なし、フォーマットも、まぁNokiaのと同じ。各項目のファイル名が問題。Nokiaのファイルは、電話帳エントリの名前がファイル名になっている。が、パナは違う。通し番号のようだ。それで、えいやっと10個くらいのエントリのファイル名をPIM00001.vcfからPIM00010.VCFにリネームしてそのmicro SDをパナに食わせてみた。うまくいく!

それで、全件リネームしてそのmicro SDを使って、無事にパナへ移行させた。やれやれ。

何気ないファイル名の命名規則、フォルダの名前の付け方、こんなものが結構互換性ということには馬鹿にならない。こういったことをうまく利用して、下敷きの技術は共通技術を使っているが異なったサービスにして囲い込んでいる例は山ほどある。普通お客はなぜ互換がないのか、うまく移行できないのか、その理由をつきとめるのは難しいし、探そうとはしないものだ。簡単にできるものどおしは使いやすいということになる。技術標準の互換性はグループを作る、というのが今日のお話。

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Written by masa-ida

8月 23rd, 2010 at 1:36 pm

漢字コミュニケーション

グローバルITという科目の講義をしていて、中国の経済力の伸びの話をした。いろいろな予測があるが、いずれにしても、人口13億のパワーは基礎的な力があり、2020年にはEUを抜き、米国と肩をならべるという数字もある。日本経済の伸びは微増であり、この結果、日本の経済力は中国・米国の何分の1かにその時にはなるという。相対的な地盤沈下というべきか。予測は予測だが大筋の流れを伝えようとする数字の意味は理解する必要がある。

これで、エクアドルでのあるエピソードを思い出した。2002年の3月だったと思う。当時MITのVisitng Scientistとして人工知能研究所にいた。ボストンの家を後にして、短期の出張をエクアドルに行った。その帰りにキトの空港でアメリカに帰る飛行機を待っている時のことである。飛行機の出発が遅れるというアナウンスがあった。そして、待合室の私のところへ係員が来た。どうしたのだろう?

「あそこに座っている女性のカバンを調べたいのですが、言葉が通じないのです。スペイン語も英語もダメ。協力していただきたい。」と(英語で)話しかけてきた。中国の人だという。私は日本人で中国語はわからないです、と答えると、困った顔。「見てわかるように、あなたしか東洋人は居ない。通訳を呼ぶと時間がかかる。なんとか協力してくれないか。」協力しないとさらに離陸が遅れるということだ。とっさに考えた。どうしたらいいだろう。

「OK、紙とペンをください。やってみましょう。」筆談を試みることを思いついた。係員は航空会社のメモ帳と鉛筆を持ってきた。それで彼女の傍へいった。中年の中国人女性である。家族か夫かわからないが、ともかくもはるばる訪ねてきて帰るところなんだろう。とりあえず、英語、そして日本語で話しかけてみた。緊張しているみたいだ。おそらく係員などの話しかけが何度かあったのだろう。挨拶してみた。応対はしてくれる。それで、紙を見せて、そこに、「鞄」「検査」という3つの漢字を書いた。これが現代の中国で通じる表現なのかわからない。でもそれしか方法が思いつかなかった。彼女はうんうんとうなずいた。通じたらしい。係員が即座に彼女を手招きをした。席を立ちあがって彼女はついていった。それからしばらくして、搭乗開始のアナウンスがあった。帰れた。漢字の威力だろうか。

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Written by masa-ida

6月 15th, 2010 at 7:55 am